提言2024
(提言2024)
百年の計は Well-Being にあり
~無形・有形資産投資をメルクマールとして~
経済社会システム総合研究所「KAITEKI研究会」(小林喜光会長)は、2021年11月に「Well-Being Capitalism(快適資本主義)の構築に向けて~相互信頼下の持続的価値創造システムへ」を発表した。
今回公表する「提言2024:百年の計はWell-Beingにあり」は、2021年に行った提言以降の経済社会の変化や調査研究の進展、さらに本年夏に実施した「社会課題に関する日米独3カ国意識調査(第4回)」の結果も踏まえ、経済社会システム総合研究所の「KAITEKI研究会」 (小林喜光会長)及び「企業ガバナンス研究会」(森野鉄治代表幹事)が合同で行うものである。
~「提言2024」の主なポイント~
人々の幸福は「経済的な豊かさ」だけでなく、健康、信頼できる家族や友人、良好な自然・社会との関係など「社会的な要素」を含む「Well-Being」によって左右される。
しかし、持続可能性の危機を深める事態が多数発生し、世界のWell-Beingはむしろ後退している可能性が高い。
また、Well-Beingの向上に大きな影響を及ぼす人的資本などの「無形資産」への投資に関して、日本では種々の制約が存在し、投資は停滞してきた。このことは、日本の自然利子率を低くし、失われた20年ないし30年といわれる「長期停滞」の重要な原因にもなってきたとみられる。
Well-Beingの向上が求められるが、「経済成長」や「GDP」が偏重されるなど政府の政策運営の枠組みはあまり変化していない。
「Well-Beingの向上」を日本が目指すべき「百年の計」と位置付けるべきである。
Well-Beingの向上を国や企業の中心的目標としていくためには、それに相応しい中間目標が必要である。CO2削減率などの指標群とともに、GDPのように「分かり易く総合的で客観的」かつ「努力の全体像」を示し、将来にわたり価値を創出する源泉となる「ストック」に関する指標が必要不可欠である。
「無形・有形資産への投資額」は、Well-Beingを生み出す「努力の全体像」を示すものであることなどから、政府はこれをWell-Being向上の「中間目標・メルクマール」と位置付け、活用していくべきである。無形資産投資に関する統計は十分には整備されておらず、早急な対応が求められる。
企業においても、Well-Beingの創造を目標と位置づけるとともに「無形・有形資産投資」を企業経営のメルクマールとして重視し、投資を拡充するとともに、その情報開示を進めることが求められる。
今後、Well-Beingの向上に向け、個人、企業、政府(国・自治体)それぞれが、無形・有形資産への投資拡充や家庭、地域、職場における信頼関係の回復などに取組む必要がある。
Well-Beingの向上は国民ひとり一人の価値観に関わる課題であり、国のレベルでも地域においても社会的合意を形成していくことが必要不可欠である。また、無形資産への投資に関して、企業間、企業と政府の共通認識を形成していく必要がある。
(PDFファイル)提言2024 | 百年の計は Well-Being にあり~無形・有形資産投資をメルクマールとして~ |
---|